アップスアカデミーは、1984年以来、日本における演技の向上に努めてまいりました。今後もさらなる技術・表現力の向上に向けて、様々な演技ワークショップを開発してまいります。
2023年7月2日
レポート:アップスアカデミー事務局
演出家・キャスティングディレクターの奈良橋陽子が最後に演出を手掛けた作品から10年以上経ちますが、この度、久し振りに奈良橋が1本芝居を演出する特別なワークショップを開催致しました。
今回はある作品をベースに、奈良橋が書き下ろしたオリジナル作品に取り組みました。発表会を含め全8回という短期間のクラスの中で、本読み、リハーサルを通して、一人一人に演技の大切なポイントを踏まえながらワークショップを進めていきました。奈良橋の演出は、演出を与えるのではなく、俳優たちから生まれた輝いた瞬間を芝居に取り組んでいきます。その導きには多くの俳優たちが素晴らしい演技の瞬間を生み出しました。
今回のワークショップを通して、奈良橋が一貫して伝え続けていたのは、“You all really BRING VIVID LIFE to the character!”(キャラクターに生き生きとした生命力を吹き込んで!)
その為に、具体的に本当に行動をする、本当に聞く、本当に話す、演技の基礎であるAction(行動)があるからPINCH and OUCH(反応)があることを繰り返し繰り返し、本番が始まる最後の最後まで伝えていました。
そして、奈良橋が一番時間をかけていたのが、Entrance (キャラクターの登場)です。時間さえあれば、一人一人に何時間かけてでも出来るまで取り組みたかったと話すEntranceは、この先の芝居が決まると言えるほど一番大事な瞬間。その前に何があったの?どこから来たの?どこへ行くつもりだったの?季節は?具体的に具体的に。舞台に入ってくる前から役の人生は始まっている。舞台に出てくる瞬間に作り上げないで、舞台上に出てくる前から役としてずっと生きていてほしい。本当に生きていれば、Entranceだけでお客さまの心を掴むことができる。奈良橋は、そう、繰り返し伝えていました。
多くの俳優を育て、世界中の素晴らしい俳優たちを見てきた奈良橋だからこそ、俳優一人一人の輝きを最大限に伸ばし、心に訴える演技を磨いて欲しいと強い想いを俳優たちにぶつけていました。その想いは、確実に受講生にも届いたいたように思えます。クラス後の皆さんの感想は、とても嬉しいお言葉ばかりでした。
素晴らしい俳優を育て、世界でも活躍をして欲しいと願う奈良橋の想いに、受講生が応えた素晴らしいワークショップとなりました。